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もやもやしながら、折り返しの電話を期待してみたが、とうとう架かっては来なかった。
泣きたくはなかった。だけど、目のふちをじわじわと濡らす涙をどうしても純は止める事が出来なかった。
「何なんだよっ、一体」
浩哉に何が起こってるのか、知りたい。
でも、聞けない。
電話を架けても、あんなに素っ気ない態度をとられてしまっては、聞くに聞けない内容だから…。
それでも気になって、携帯電話を握りしめたまま、生活をしている。
明日は、逢えるのだろうか。それとも、逢ってはくれないのだろうか。
不安と焦燥感で胸が押しつぶされそうになる。
「明日は、覚えていてくれるよね……」
自分に言い聞かせるように強く呟いて、手にしていたコーヒーを一気にあおった。
いつもより、苦い味がした。
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