1 疑惑の声

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 なるべく考えないように過ごす事に専念し、どうにか喉を通らない2日振りの夕飯も済ませ、風呂にも入った。  こうなりゃやけだと、ベッドに投げつけた携帯をそのままに、酔いたい気分で缶ビールを開けた。  携帯は気になるが、浩哉からの着信があるわけがない。そう思ってTVを点ける。  さして面白いとも感じない、バラエティー番組を眺めながら、やっぱり浩哉の事が離れないでいる。  純は浩哉を心から愛している。離れたくはない。  何かと騒がしい性格の浩哉だが、そんな彼を純は愛してきた。  浩哉もまた、純を愛してくれていた。いや、今も愛してくれている筈だ。  こんな事で、溝やひび割れが出来るほどの浅い絆ではない筈だ。  それでもこうやって独り、部屋に居ると、悲観的な考えしか出来ない。    声が聞きたい。愛していると囁いて欲しい。純より一回りも逞しいその腕で、この身体を抱きしめて欲しい……。  だけど今は、唯一の携帯電話ですら、浩哉を感じる事は許されない。  半月の間、殆ど放って置かれて、正直身体も心も渇いている。  出来ることなら、今すぐ逢いに行きたいが、やはりその行動を取るには、気が引ける。  浩哉の事が頭から離れない。
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