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口元の毛が小指の先ほど抜け落ち少し間抜けな顔になったが、看病した甲斐あってか、ロクは日に日に良くなっていった。
まず先に後足が動くようになった。
お尻を上げ滑り台のような姿勢でバックにだけ進めるようになった。
彼は必死だろうがその姿は滑稽だった。
やがて前足も元に戻り口元の毛も生え揃った頃のある日…
母が玄関を開けたままにしていると、彼は出て行き、そのまま戻る事はなかった。
可愛いから誰かが連れて行ったのか
オス猫だから自分の意志で出て行ったのか
それは定かではないけれど…
もう二度とロクに会う事はなかった。
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