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グランガイアの山脈を月明りが照らす夜。
一人の少女が、ある洞窟の前に立っていた。
その洞窟には、入れば出てこれないという言伝えがあった。
グランガイアの住人は洞窟を恐れ、近付こうとはしない。
だが、その少女は何のためらいも無く、すんなりと洞窟に入って行った。
「………何の用だ。小娘」
少女は洞窟の最奥に辿り着くと、ある男に声をかけられた。
その男は、ゴブリン達に伝説の超人と呼ばれているドガであった。
この洞窟を住みかにしている。
「…小娘じゃないわ、グラリスよ。
グラン・ピュータに会いに来たの」
ドガに怯む事なくグラリスはそう言う。
「……奴なら何処かへ行った。今夜中には帰って来ないだろう」
そうドガは答えながら、洞窟の隙間から月明りが当たる岩に腰をかけた。
「じゃあ、あなたでいい。誰かと話したいの」
その言葉に、銃の手入れをしようとしていたドガは顔を上げ、ふっと笑う。
「……子守は苦手だ」
「……となり、いいかしら?」
ドガの言葉を無視し、グラリスはドガの隣に座る。
「……おいおい………何だ?あの未熟者と喧嘩でもしたのか?」
「……別に…ゴルガルは馬鹿だから相手にしない」
……図星か…
ドガはそう思うとため息を吐いた。
喧嘩するたびに来られては困る…
ドガは困惑していると、グラリスがドガに寄り掛かってきた。
「…ねぇ、今日はここに泊っていい?」
「………何故だ?」
「……戻りたくない。あそこは男共がうるさいから」
「ふっ………それは同感だな」
END
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