山田くんと佐藤くん2

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山田ってやつは前々から気になる存在だった。 きっかけは入学式が終わり、教室でみんなが自己紹介してるときだった……。 「俺は佐藤浩介で~す。バスケ一筋なんで、宿題写さしてくれたり、テストの山張ってくれる友人大募集中~。よろしくねぇ♪」 な~んて調子良く笑顔を振りまけば、笑いが起こって、あっという間にお調子者の人気者。 この容姿のせいで、みんなコロッと騙される。 馬鹿な連中だって内心笑いながら、席に着いた。 きっとこれからの三年間、人間関係に悩むことはないだろう 自己紹介での第一印象は、これからの学校生活を左右する大事なことだったりする。 でも、最後に自己紹介した奴…山田は違っていた。 「俺は座布団も幸せも運ばないけど山田隆夫です」 見た目も地味な平凡そのもののやつが言った科白に、全員が大爆発した。もちろん、俺も。 「言っとくけど、ウケ狙いじゃなくて本名だから」 そう言って席に座った山田に、教室が一気に静まり返った。 言い方があまりにも冷たかったし、普通なら義理でも「よろしく」の一言はあるだろう。 人見知りじゃなくて、人付き合いが苦手なのか、山田はそのあとずっと話しかけるなオーラを出していた。  
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