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本当はそのとき隆夫を探して学校中うろうろしてた、とは言わないでおく。
「俺さ、屋上にいんだよ。あの場所が好きでさ」
「屋上?! マジで?」
いつのまにか教室に着いていたから、俺の大声のせいで、みんなの視線が一気に俺達に集まった。
「そんなに驚くことかよ…」
呆れたように自分の席に着く隆夫の、前の席に座り(軽く目で謝ってから)俺は話を続けた。
「いや、屋上ってマジでヤバい場所なんだぜ? 残り5分の休み時間じゃ話せないから、昼休みでいい? 中庭で一緒に食おうぜっ」
「まぁ…別にいいけど…」
正直、気になるから今話せって目が言ってる気がしたけど、詳しいことはやっぱり昼の長休みじゃなきゃ教えられそうもない。
「あのさ、屋上は不良の溜まり場なんだよ。それだけは言っておく」
そう告げて席に戻った。
「へぇ~、余裕じゃないか、佐藤くん」
俺の席には幼なじみ兼親友が何故か座っていた。
この学校で、今のところ唯一俺の本性を知ってる奴だ。
「なんのこと? 田中くん」
我ながら「くん」付けで呼び合うのは、気持ち悪い。
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