山田くんと木村さん 2

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「俺もいつもここにいるんだけどな」 ただし、それは昼休みのことだが。 山田、か……。 朝たまたま早く目が覚めて、いつものように屋上へ行くと、そいつはいた。 名前を聞いたら、見た目通りの平凡な名前だ。 でも、そいつはもの凄く変わり者だった。 普通ならありえないことに、金髪もカラコンもピアスも似合わないと……俺の外見を全否定するかのような発言した。 それなのに、怒りよりも笑いがこみ上げてきた。 きっと、いつもの俺なら怒ってるはずなのに。 俺と初めて対峙したやつの反応は、喧嘩を売るか、怯えるか、もしくは外面だけ見て媚びてくるか…だいたいはそんな感じだ。 山田は平凡そうで喧嘩もできそうにないから、きっと怯えるのが普通だろう。 あいつの反応は意外そのもので、俺に興味ないかと思えば、ズバズバと物怖じせず失礼なことを言い放つ。 言い逃げされた感もないではないが、不快だとは思わない。 自分を貫き通すのを信条としている自分が、あいつに言われたくらいで、自分を変えようと思えてきたんだ……。  
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