山田くんと木村さん 2

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次の日、今度は意図的に目覚ましで早起きをした。 前日、何しに学校にきたのか?と他人に聞かれてもおかしくないくらい早く帰った俺は、あいつに似合わないと言われた髪とピアスをなんとかするために学校を早々と去った。 美容室に行って、髪を黒にするついでにワックスなしで逆立つくらい短くし、家に帰ってピアスを外した。 ただし、一つだけ気に入ってるドクロのピアスだけは残したけど。 そのせいか、いつもより不良に絡まれる数が減って、気持ちが良かった。 この見た目のせいか、喧嘩好きってイメージがあるらしいが、俺は必要以上に他人を傷つけるのは好まない。 あいつの反応が楽しみで、いつもより早足で学校に向かう。 学校に行くのが楽しみだなんて、初めてのことだった。 「ようっ」 屋上の扉を開けるなり、そいつはいた。 扉に背を向けて下の様子を見ていたから、気づいてほしくて声をかけた。 「えっ? 木村さん?」 目をパチパチさせながら、驚いた反応をするそいつに、俺は内心「してやったり」とガッツポーズをした。 「似合うか?」 「似合ってます。昨日までの木村さんよりずっとかっこいい」  
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