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木村視点。
「酷い…」
ベッドに横たわった高橋を見て、胸が痛むと同時に、湧き上がる怒り。
「あ…木村さん、不死原さん…。すみません」
目を覚ました木村が申し訳なさそうに目を細める。
「謝ることないよ。それより、デビルの連中にややられたって聞いたけど?」
不死原が確信を突くと、高橋は顔を歪めた。
「俺…情けないっス…。木村さんみたいに強くなって…妹を守るって誓ったのに…」
涙ぐんでいる高橋を見て、余計にデビルのやつに怒りが湧く。
こんなに妹想いの優しい高橋をなんでこんな目に遭わせたというんだ。
高橋が何をしたって言うんだ。
「高橋は弱くない。誰かを大切に思えるやつは強いんだからな…」
まっすぐに高橋を見やれば、苦しそうに顔を歪めていた。
苦しいのは傷つけられた身体じゃなくて、心だと俺にはわかる。
「デビルは今どこにいる?」
「俺のために危険な目に遭わせるわけには…」
不死原の問いに高橋は首を横に振った。
でも、俺達は行かなきゃいけない。
「俺達は行かなきゃいけないんだ。お前がそんな目に遭ったのに、相手を野放しにできるほど俺はお人好しじゃない」
「あのさー、本当は今すぐ殺したい気持ち堪えてんだからさっさと教えてよ」
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