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音はさらに大きくなる。確実に近づいているようだ。
(この夢の主は……)
人影が見えてくる。
そいつはハンマーを振り下ろし鉄を打つ。
そして、それは義之の知っている人物だった。
「裄人……!」
裄人は手を止めて、ゆっくりと義之の方を見る。
「ここで何をしている」
彼から尋常ではない威圧感を感じる。
動けない。
蛇に睨まれた蛙とはよく言ったものだ。
「ここはお前のような奴が来るところじゃない」
そう言って彼は一振りの短剣を手にする。
鈍い光沢を放つそれは一目でただの短剣ではないと分かる。
(こ、殺される……!?)
逃げようとしたが、体が言うことを聞かない。
「--ロスゲンスティング(刻みつける聖痕)」
ナイフが義之の心臓に突き刺さった。
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