序章

2/5
837人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
『あなた』はまた部下君の運転する車に揺られています。 目的地は郊外のとある一軒家。 そこから先程、110番通報がありました。 家主の奥様が包丁で刺されてお亡くなりになったみたいです。 後から現場に行きたいとしぶるあなたを、部下君が無理矢理引っ張って車にのせました。 「……いい加減、血が怖いなんて言わないでくださいよ」 部下君、誰にだって苦手な事はあるものですよ……? そっぽを向いたあなたに部下君が眉をよせてため息をつきました。 この困った顔が子犬のようで可愛いと婦警さんたちには人気だそうです。 ……面白くありません。 それに最近少し生意気です。 「被害者は矢部美千代さん、62歳です。茶道の先生をなさっていました」 窓の外に視線を置いたまま、あなたは頷きます。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!