第2話 守護なる天使

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『……とりあえず、マスター』 「わかっているわよ。現状確認でしょ?」  そう言ってもう一度周りを見渡す久魅那。だが、先ほどと変わらず、そこには石造りや木造の建物が建ち並んでいる。 「建物は私達の知っている普通のものだわ。ただ、違うとしたら……」  顔を見上げる。 「……アレね」  そこには、おおよそ“空”というモノは存在していなかった。  広がるのは“海”だ。太陽も月もない、暗めの藍色となっている海が世界を覆っていた。 『おそらくは次元と次元の狭間。もしくは次元間の渦だと思われます』 「でも、次元間においての物質の固定は……」 『いえ、ここの空間、正確にはこの世界だけは比較的安定しています。推測が正しくば、次元と次元の狭間にある世界かと。ついでにいえば、先ほどの霧はなんらかが原因で次元の歪みと直結し、ここへと繋がっていたのかも知れません』 「次元の歪みの原因は?」 『推測不能。現在、解析中』 「わからないことだらけね……」  苦笑しながら、久魅那はあたりをぼんやりと眺める。建物はあるのに人の気配が全くしない。それどころか、犬猫一匹すらいるのかさえ分からないほどに静まりかえっている。  さらにいえば、上空に広がる次元の海に太陽も月も無い故に、今が昼なのか夜なのかも分からない。  呆けるように次元の海空を見上げていた最中、脳内に響くようにそれは聞こえた。 “―――………来ないで!” 「…………ほえ?」  突如、頭の中から聞こえた女の子の声に久魅那は驚いた。 (……な、なに? 今の……)  ふと見下ろして相棒のバイク戦車を見る。  耳に聞こえたならメタトロンにも聞こえているはず。しかし、彼女は何も口(?)を開かないため、おそらく頭の中から聞こえたのは気のせいではないようだ。
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