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そんなことを思っていると、メタトロンは別の何かに気付いて声を出した。
『マスター。振動と音紋に反応を確認。音紋照合…………該当データ無し』
該当データ無し。それはメタトロンのメモリーに登録されていない新たなモノということ。
「個体数は?」
『およそ十一。うち生体反応……訂正。それに近いものが一つ。それだけは他とくらべて音紋が違います』
「場所は?」
『十時の方角、距離八百』
言われて久魅那はその方へ顔を向ける。
建物同士がさまざまに入り乱れているので、真っ直ぐには行けそうもない。さらには細い道だとバイク戦車ことメタトロンが入らないから、迂回しながら行かねばならないようだ。しかし、久魅那はこの町の構造が全くわからない。故に下手に入ると迷路のように彷徨う可能性もあった。
そこで頼りになるのが相棒のメタトロンであった。
「メタトロン、ルートスキャンして! 最短距離で行くわよ!」
『了解(ヤー)』
即座にメタトロンが周囲をスキャンし、ある程度のマップを作成する。そして、三秒の思考時間を入れて、速度メーターが取り付けられている部分より下にある操作パネルからさらに横にある液晶画面に最短ルートが表示された。
それを見ると久魅那はすぐさまスロットルを回し、エンジンを吹かして地面を擦るようにバイクタイヤとキャタピラによる超信地旋回を行い、向きを変えて走り出した。
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