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石造りや木造の建物が建ち並ぶその一角にて、一人の少女は走っていた。
六歳くらいだろうか。茶がかかった黒髪の肩まで伸びたミディアムヘアーが走るたびに左右に揺れる。
だが服装は少し異様というか、珍しいものであった。
白と紺を基調としたエプロンドレスに、頭にはフリルのついたカチューシャ。
なぜなら、少女はメイド服を着ていたからである。
メイド服を来た少女は走り続ける。そして時折後ろを振り返っていた。
振り返る少女の視界に入るのは十数体の甲冑を着込んだ二メートルはある兵士達であった。皆それぞれ全身を鎧で覆われており、誰一人顔を窺えない。しかも人間が入っているようなサイズではないことから異様だ。それぞれの身長が二メートルを超え、大人二人分はある横幅の身体に合わせられた大きな剣を持つ兵士や、スパイクハンマーを持つ兵士、槍を持つ兵士もおり、斧を持つ兵士もいれば、銃を持つ兵士もいた。
甲冑の兵士達の走る速度はそんなに速くはないものの、まだ六歳ほどの少女の速度では徐々に距離が縮まるほどだ。
やがては追いつかれるだろう、誰もがそう思えるような状況だった。
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