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だが、少女が横切った建物と建物の間からソレは飛び出してきた。
「――え?」
背後から聞こえたエンジン音に少女は立ちどまって振りかえる。
そこに、左右にキャタピラをつけた異様なバイクとそれに乗る長い黒髪の女性の後姿があった。
バイク――メタトロンを少女と甲冑兵士達との間に割り込ませた黒髪の女性――久魅那は、目の前の甲冑兵士を一瞥したあと、
「君、大丈…………?」
そう言いながら少女の方へ振り返った次の瞬間、突如久魅那の表情が固まった。
「…………?」
突如沈黙した久魅那に少女は目をパチクリさせた。
きっかり三秒経ってから悲劇(?)は起きた。
「ヴぅふぉっ!!?」
いきなり久魅那は仰け反りながら鼻血を噴出したのだ。
「ふ、ふぇっ?!」
『マ、マスター?!』
突然の出来事に少女もメタトロンも驚きを隠せなかった。ちなみに甲冑兵士達も僅かばかり後ろに退いていたことは誰も気付いていなかった。
そんな鼻血を出した久魅那は、ポケットから出したティッシュで鼻を押さえながらぼそりと口を開く。
「も、萌え~。ねぇメタトロン、あの子めっさ可愛いよー。お持ち帰りしていーい?」
『駄目ですマスター。……一体どうしたのですか?』
そう言われて、久魅那はビシッと少女の方へ指をさす。その指にさされて少女はビクッと体が撥ねた。
「だって、アレよアレ! メイドさんよ! たださえ可愛くて幼い少女があろうことかメイド服を着ているのよ! これで萌えずに、何に萌えろと言うのよっ!?」
『は、はぁ……。メイドに萌え、ですか……』
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