第2話 守護なる天使

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 突然の天使の登場に機械人形達は驚きなどをせず、ただ邪魔をする敵が現れただけというような感じでそれぞれが持つ武器を構える。  あきらかな戦闘態勢に久魅那ことエリヤもそれ相応の態勢になる。 「メタトロン!」  彼女がそう名を叫ぶ時の意味をメタトロンは知っている。全部言われずとも、一年以上も共に戦い合った相棒(パートナー)ならば、それだけで全てが通じた。 『了解(ヤー)、マスター。――守護炉、出力八十%ミリタリーモードへ。パワードGホイール輪転再開。ファイアリングシステムロックオープン。Close-In Weapon System、弾頭を装弾筒付徹甲弾(APDS)で固定。リンクレス・コンベア作動、供給開始。……装填完了。CIWS(シウス)バルカン砲使用可能。インパルスキャノンのエネルギーチェック……問題なし。いつでもどうぞ』 「よぉし、メタトロン、後方支援よろしくっ!」  バイク戦車にウィンクをひとつすると、背中の機械の翼を大きく広げた。 「エンジェルウィィィーングっ!」  天使光翼エンジェルウィングの推進部から浮力エネルギーを展開し、空へと飛び上がる。  接近戦用武器しか持たない機械人形が大半であったが、数体だけ重火器を持つ機械人形もいた。それらが空中にいるエリヤに向けて銃口を向けた。  手にライフルを構えた一機が撃つ。だが、直線に伸びる銃弾はやすやすと回避される。  次に、腕自体がマシンガンのようになっている数機がそれぞれ同じタイミングで弾幕を放つ。しかしそれも、高速飛行するエリヤにはかすりもしなかった。 「遠距離用武器まで持っていたのね。……それなら!」  エリヤはエンジェル・ウィングから数十枚の羽をパージして空中に展開。残留する浮力エネルギーを重力エネルギーへと反転。指揮者のように両手を高く掲げて遠隔操作。羽の付け根を地上に居る機械人形達へと向ける。 「フェザァァァーーー……レインッ!」  一気に腕を振り下ろし、重量の塊と化した羽が流星の如く機械人形達の頭上から降り注がれる。  石造りの建物の壁が簡単に貫かれるほどの威力を秘めた羽が次々と機械人形の装甲を穿つ。  一番多くくらった一体の機械人形が全身を穴だらけにされて、体中から紫電を発して倒れ、ついには爆発した。どうやらメタトロンがスキャンした際に検知した動力源だという部分に直撃していたようだった。
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