第2話 守護なる天使

15/22
前へ
/109ページ
次へ
「やっぱ動力炉なんてもんがあるから爆発するのねー。全部爆発しちゃったら大変なことになりそうね。――ならばっ!」  今度は一気に下降し、地面スレスレでそこから水平に飛び、機械人形の正面へと向かう。 「エンジェルウィング、フルパワー!」  翼を大きく左右に広げ、胸部パーツに埋め込まれた緑色の宝石ガーディアン・ハートから供給される力、セーフティーアンチエネルギーフォース――通称“光の力”――を翼全体に展開。それにより、光は翼を包みながら左右に大きく伸び、やがては刃状の光となった。 「ウィング……テレマァァァァーー!」  さらに速度を上げて機械人形の横をすり抜ける。同時に左右に伸びていた光の刃――光翼弾劾ウィングテレマ――が数体の機械人形たちを横一文字に断つ。  だが、先ほどの爆発を考慮してか、狙うは下半身という動力炉があると思しき部分には影響しない所ばかりであった。  バランスを崩され、倒れる機械人形。身動きがとれずとも腕などを動かしてはいたが、徐々に機能停止していった。  エンジェルウィングのエネルギー開放を止め、翼を閉じて地上に降りるエリヤ。そこへ一体の機械人形がスパイクハンマーを横薙ぎに振るう。だがそれをエリヤは光の力を込めた左腕を盾にするようにして受け止めた。多少体が横へ押し動かされたが、光の力によってエリヤには大したダメージはなさそうだ。 「もうっ! 馬鹿力だけはあるようね。でも、こっちだって力には自信があるのよ!」  そう言ってエリヤはスパイクハンマーを振り払うと、機械人形の懐へ潜り込んだ。  今度は正面から、エリヤはダンッと左足を力強く踏み込んで、右拳を脇の下で固めて構え、そして放った。 「エリヤ……ナッコォォォォォーーー!!」  生身の時とは違う、五トンにも及ぶ破壊力を誇る断行正義拳エリヤ・ナックルが機械人形の腹部の装甲を貫いた。所々に紫電と小爆発は起きるものの、動力炉にまでは影響がでていないのか、エリヤが腕を引き抜くと、そのまま仰向けに倒れた。それをエリヤは穴が開いた部分に目を向けていた。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加