第2話 守護なる天使

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 多少の距離をおいて機械人形は肩に担いだバズーカ砲を発射した。撃ち出された対戦車ロケット弾がメタトロンに向けて飛ぶ。  その砲弾をメタトロンは避けるような素振りもなく、バイク部へと直撃した。高熱をもった煙が噴き、バイク戦車の姿が数秒見えなくなった。  直撃を確認した機械人形がゆっくりと真珠の方へと歩みだした。 「そんな…………メタトロン!!」  後ろにいた真珠が叫ぶ。すると――、 『……なんですか? 真珠』  煙の中から返事が聞こえた。同時に、機械人形もピタッと足を止めた。  煙が晴れる。そこに、無傷のバイク戦車がいた。 「メタトロン!」  安心と喜びが混じった笑顔で真珠は声を上げた。 『安心してください、真珠。ワタシの装甲は特殊超金属ヒヒイロカネでできております。そして、キャタピラ部にはヘビー・アーマー型と呼ばれる減損ウラン装甲で構成されております。たかだか対戦車ロケット弾如きにやられるワタシではありませんよ』  相手が未だ健在であったことを確認した機械人形がもう一度バズーカ砲を発射した。  だが今度ばかりはメタトロンは受ける気はなかった。 『ワタシを普通の戦車と見て相手にしたこと、後悔させてあげます』  飛んでくる対戦車ロケット弾に対し、メタトロンは左舷のキャタピラに備え付けられた砲身長二.〇五メートルの六銃身二十ミリ機関砲――CIWSバルカン砲――の銃口を向けた。 『ターゲット、インサイト』  ロックオンし、砲身が高速回転。そして発射!  1秒間に最大100発発射される装弾筒付徹甲弾(APDS)が対戦車ロケット弾に全弾命中。被弾した対戦車ロケット弾は空中で爆発した。それは超高性能自律成長型人工知能を持つメタトロンだからこそできる芸当であった。
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