第2話 守護なる天使

18/22
前へ
/109ページ
次へ
 対戦車ロケット弾を迎撃したメタトロンは、すかさず次弾を放とうとしている機械人形を追撃するために、右舷のキャタピラに備え付けられている三メートルはある白く細長い砲塔――インパルスキャノン――を向け、エネルギーの充填開始。先端に緑色の光が集束する。 『目標、敵武装。……ロックオン完了、発射します』  インパルスキャノンから発射された緑色の高エネルギーが直線状に伸び、機械人形が肩で構えていた対戦車用バズーカに直撃、爆発した。  とっさにそれを離していた機械人形だが、爆発の余波に数秒その場に佇む。その僅か数秒が大きな決定打となった。 『マスター!』 「おーけい!」  機械人形が動かないうちに真珠をさらに後方へ下がらせていたメタトロンが主の名を呼ぶと、機械人形の背後から別の一体を倒し終わったエリヤが走ってきた。  それに気付いた機械人形が振り向き、おもむろに右腕を前へ突き出す構えをとる。すると右腕の上腕と前腕の間にある関節部の隙間から火が溢れ出した。次の瞬間、肘から先が有線式のロケット噴射で飛び出した。 「ロ、ロケットパンチっ?!」  さしものエリヤもこればかりは驚かされた。だが、驚きの表情は僅か数瞬。すぐに守護天使としての顔になる。  即座に左腰にマウントされている巨大な片刃剣の柄に右手を伸ばす。元々巨大な剣であるためか、鞘というものがついていないので、マウントから外せば即座に使用ができた。  ロケットパンチと衝突の直前にエリヤは全体を大きく前屈みにした。その上をロケットパンチが通り抜ける。直後、エリヤは抜刀した。 「ブレイヴァァァァー!!」  鍔部に三つの大きな機械筒が接続された異様な大剣、堅勇刃ブレイヴァーを斜め上に斬り上げ、ワイヤーを切り離す。制御を失った右腕がバランスをとることもなく、進行上にあった建物に激突。そのまま瓦礫に埋まっていった。  ブレイヴァーは西洋剣のように“叩きつける”ではなく、日本刀のように“斬る”を目的とされているため、ワイヤーをも断つことができたのだ。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加