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「……ん?」
ふと、真珠がいた場所に何か光るものが落ちているのを久魅那は気付くとそれを拾う。
「……鍵?」
それは長さ十センチ程の銀の鍵であった。しかし、鍵穴に挿す部分は複雑な形状をしており、何に使うものなのかは特定できない。
おそらく真珠が持っていたものだと久魅那は推測する。だがしかし、何故反物質化映像であったはずの真珠がこうも完全物質の鍵を持っていたのだろうか?
答えの主がいないことから、とりあえず一応持っておこうとポケットの中にしまい込む。
『それでマスター。今後の予定はどうしますか?』
「むー、そうだねー」
久魅那は考えながら周囲を見渡していると、先ほど真珠が見ていた巨大な時計塔が視界に入った。
「それじゃあとりあえず、あの時計塔に行ってみましょうか」
『その理由は?』
「高いところから見たほうがなんか解決案が浮かぶかもしれないし。誰かがいそうな場所と考えたら、あの時計塔が一番怪しいじゃない?」
『そういう短絡的な思考で物事を判断してはいけません』
「良いも悪いも全てマスターであるあたしの判断ですよーだ!」
『……了解(ヤー)。地獄の底までお付き合い致します。マスター』
「そうこなくっちゃっ!」
相棒の賛同に意気込んでバイクに乗り込む久魅那。
再びエンジン音と大地を走るキャタピラの轟音が、情報都市エルブルズに響いていった。
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