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砂が寄り合わされ一つへの姿を変えていく。
形成されるそれは甲冑に身を包んだが如き巨人だった。巨躯の部類に入るエルムゴートよりもなお大きい。皆それぞれ全身を鎧で覆われており、誰一人顔を窺えない。しかも人間が入っているようなサイズではないことから異様だ。それぞれの身長が二メートルを超え、大人二人分はある横幅の身体に合わせられた大きな剣を持つ兵士や、スパイクハンマーを持つ兵士、槍を持つ兵士もおり、斧を持つ兵士もいれば、銃を持つ兵士もいた。
「……熱が腹部からしか感じられねぇ。こいつら、自動人形の類か?」
目の前の兵士たちからは生命ならば当然持ちうるはずの熱を感じられない。エルムゴートは目を細めて笑った。もっとも熱らしい熱が感じられないのは横にいる巫女服の少女も同様であるのだが。
「人のいない都市にやはり人でない兵士か。らしい話じゃねぇかよ。……小娘。お前を追ってきた奴か?」
首を縦に振る少女。
「……ま、良かろう。たまには殺し屋が人助けをするのも悪かねぇが……」
視線をその兵士たちに向ける。人では無い以上、恐らく魔術か、もしくは機械で動かしているのだろうが、魔力の流れも読めない上、間接部にはアクチュエーターの類も伺えない。自分を召還したのと同様に、やはり未知の技術だ。
「道を開くために切り払ってきたつまらん雑魚共!! せいぜい全力で足掻け、そうすりゃ少しは気が紛れる!!」
エルムゴートは右腕を掲げる。同時に魔術式を形成、相手を一方的に撃破する射撃魔術ではない。遠距離から打てば勝負にもならずに相手を撃破できるだろうが、エルムゴートはあえて自ら敵と同じ土俵で戦うつもりだった。
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