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「あんたの予想は?」
『可能性を挙げるならば、突然の砂上竜巻による磁場発生により方向を著しく曲げられた十五%。レーダー探知のミス十%。地図情報(マップデータ)に登録されていない新しい町である五%。単にマスターが間違えた十%。ワタシが間違えた可能性〇%』
またしても何処からとも無く声が聞こえた。しかもそれは彼女の質問に答えていた。果たしてそれは何処から聞こえてくる声なのだろうか。
「最後のはちょいと気になるけど、この際だからどうでもいいわ。……で? 残りの六十%は何よ?」
『…………』
声は数秒沈黙をしてから答えた。
『先ほどの霧が原因の可能性ではないかと』
「……やっぱり? そうよねー。あの霧を抜けたと思ったらいきなりコレだもんね~」
彼女のコレとは視界に移る全てのことを指している。
「現在位置は?」
『不明』
即答で帰ってきた答えに彼女は一瞬思考が停止。だが次の瞬間には我に戻る。
「もしかして……?」
『GPS衛星システムの存在皆無。……現在ワタシたちの居る場所は地球上の何処にも属してはいません。故に、不明』
その言葉に彼女の背筋に寒気が走った。
「ちょ、なんで!? さっきの霧のせいなの?! アレっていったい……」
『おそらくは何らかの次元転移装置の一種ではないかと。あの霧発生時、周囲の次元交錯線に著しい狂いが生じておりました』
「気付いていたんなら、事前に教えなさいよっ!」
バシッと彼女が叩いたのは、己が乗っているバイクであった。
そう。先ほどからの声の主は、彼女が乗っている超大型三輪バイクだ。
『いえ、通知する前にマスターが霧に突っ込んだので間に合いませんでした』
「メタトロン、あんた自分でバイク動かせるのを忘れてない?」
『…………そういえば』
「忘れるな! つーか今の間は何よ、今の間は!?」
このバイク戦車、正式名称、自律思考型守護三輪駆動武装戦車『武神天翼・参式』。通称、メタトロン。
超高性能自律成長型人工知能を搭載されているメタトロンは、彼女――天璽(あまつしるし) 久魅那(くみな)の良き相棒である。
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