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罰ゲーム決行
お願いだ、悪い夢なら早く覚めてくれ…
正面の鏡で後ろに座っている秋雄を見ると、まだ笑ってやがる。
でもこの状況を打開するには思い切って“あの言葉”を言うしかない。
深呼吸を1つして何とか落ち着きを取り戻した頃に、再び主人が
「どうなさいますか?」と聞いてきた。
俺は声を絞りだして
「あの、ちょ…ちょんまげ」と小さな声で言うと、
「何ですか?」と主人が聞き返したので、俺は
「ちょんまげ!」と思わず大きな声で言ってしまった。
すると俺の隣に座っていた子供が
「えっ!?」とこっちを見た。
次の瞬間、ジョリジョリと音がしたのと同時に奥さんが
「あっ!!」と大きな声を上げた。
俺はわけが分からず子供の方を見ると、子供がこっちを見たせいで子供の頭は記号の―(マイナス)みたいにバリカンで刈られていた。
奥さんは慌てて主人と顔を見合わせたが、子供は既に自分の変な髪型に気付いて泣きじゃくっている。
俺は
「結構です!」と言って逃げるように秋雄と散髪屋を出ていって、外の自転車に飛び乗ってペダルを必死に漕いだ。
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