可笑しな戯曲

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 夜(時間帯ではない)は朝から不機嫌だった(尻尾をパタパタと振っているため一目瞭然)。  その理由の詳細はわからない、が、大意を取ればどうやら寂しいようだ。 「夜、猫はきまぐれに生きるものだよ。鳥かごに入った鳥じゃないんだから外にでも出たら?」 「いっちゃんは、首輪してない猫がどうなるか知ってる?」  保健所の3文字が脳裏を掠める。 「えっと、首輪いる?」 「僕の自由を拘束したいのか!」 「いや、だって……ねー?」 「一人だと寂しいんだよー!」 「病院に連れていくわけには行かないからなあ……お昼休み戻ってくるから。それで良い?」 「うにゃ……早めに帰ってきてね……」  グリグリと私のお腹辺りに顔を埋めて満足行くか行かない内に私はエンジェル・ポイントのスラッシュを撫でてから後ろ髪引かれる思いで外に出た。
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