可笑しな戯曲

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「しかし、悪いな」 「まあ、私も病院には用があるから良いよ」 「私?」 「この一人称は単なるくせだ。気にするなら病院を気にしてくれ」 「ああ、精神科に行くのかと思って思わずスルーしちゃったぜ」 「一人称でそこまで言うか!?」  キャラが思わず壊れた。いや、私はこんなキャラだったのかもしれない。  少女を連れて歩くこと数十分。  容赦なく肩に負荷をかけていたので、着いたときには肩が悲鳴をあげていた。 「ありがとよ眼鏡の兄ちゃん」 「感謝を告げるなら名前にしてくれないか……? わた……僕の名前は綾瀬樹だ」 「僕?」 「可笑しい?」 「私でも別に良いんじゃないか?」 「どっちだよ……遅れるから私は行くよ……」 「おぅ、樹。またな」  またな。  って、何なんだよ。  少し頭が痛くなった。  あー、名前聞くのを忘れた。  縁があればまた会えるか。
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