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ありすは思わずの問いに狼狽えた。
話しやすいような、話しにくいような車椅子の少女に間合いを掴めないでいるようだ。
ありすは車椅子を押し進める。
会話はない。何か話すべきなのだろうかと思ったありすは気になったことを聞くことにした。
「あの……」
「なんですか?」
「……足は?」
「ああ、捻っただけです」
「……両足!?」
「いえ、右足だけです……が、心臓も弱いらしく母が」
と、言った車椅子の少女ははにかんだように笑ったように思えた。
白い清潔感のある廊下の奥の方、精神科まで来たところで受け付けの本業の看護士に少女を任せることにした。
「えっと……お元気で?」
「多分、それであってますよ。立派な看護士さんになってくださいね」
ありすは少し嬉しくなった反面、指導者さんに呼ばれていたことを思い出し、思わず嘆息してしまった。
(怒られるかな……?)
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