可笑しな戯曲

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     お昼休み。  私は大きな誤算をしていた。そう、電車の時間が無いのだ。行きはあるが、帰りはない。  それに、原則実習中は病院外から出歩いては行けないの二つの壁が私の目の前に立ちふさがった。 (夜、ごめんなさい)  なんて、軽く考えながら昼食を食べ終わる。いや、飲み終わるで正しいのか。  一食抜いても全然構わない私は、飲み終わるとそのまま病院の売店へと向かった。  場所は二階の会議室から出て、一旦一階に下り、受け付けの前を横切って、少し行ったところである。  ここの売店はほとんど小さなコンビニと言って差し支えない品揃えだからとても便利だ。 「働くならやっぱりこんな大きな病院とかが良いよね……」  と、呟いているとふと、視線を感じた。  後ろを見ると、車椅子の女の子が私を見ている。 「邪魔かな?」 「いえ、あの……」 「ん?」 「心臓外科ってどこですか?」  受け付けで案内されるはずなのだが。  まあ、仕方ない。 「私が押していってあげるよ」 「あ、……ありがとうございます」
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