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家に帰ると、私の同棲者は不機嫌そうに尻尾を揺らしていた。
体は丸まっており、私の方を見ようとしない。
すごいいじけようだった。
「夜、ごめんね。お昼休みに電車がなくて帰ってこれなくて」
一瞬尻尾が止まったが、尚も尻尾を揺らす夜。
私は夜を抱えあげてから、ベッドに座った。
「夜、これでも急いで帰ってきたんだからね」
と、言うがやはりこちらを見ようとはしない。
覗き込むと猫パンチされた。
案外痛い。
「やれやれ……やって欲しいことを一つ述べよ。これが、私の最大の譲歩です。約束破りは悪かったけど、これでもダメなら話したくなるまでほっとくことにします」
一分待ちますと付け加え、私は夜を優しく撫でる。
耳がピンとうれしそうに立つのがわかった。
(黒猫は案外甘えん坊で人懐っこいと、ありすに聞いた覚えがあるんだが、本当なのかも知れない)
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