151人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
今、本テスト最後の教科である数学の回答用紙を
先生が一名ずつ名前を呼びながら配っている。
この結果次第で夏休みの半分を学校で過ごすはめになるだけに
まわりは重々しい空気が流れている。
名前を呼ばれた柚子は緊張したおもむきで回答用紙をうけとると
一瞬にして満面の笑みとなり、
私に向かってVサインをした。
「瀬野!」
「はいっ!」
人一倍大きな返事をして立ち上がり、
彼が先生の前に小走りで近づいた。
「残念。お前は追試組な。」
「マジで?!少しはまけてくれよぉ」
頭を抱える彼に笑いながら先生が言った。
「ちょっとまけたくらいじゃ追試を免れんだろ、お前は(笑)」
クラスに大きな笑いが起こった。
「ひでぇなぁ~」
そういいながら、彼はため息をつき、
静かに席についた。
やっぱり彼は凄い。
どんな時でもクラスを明るくする。
なぜか幸せな気分になり、つい頬を緩ます。
「仲村!」
先生が私の名前を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!