特別なこと

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今は夜9時。 彼にどうやって私の思いを伝えるか、について 二人で考え始めてすぐ、私の携帯がなり 「もう図書館しまってる時間なのにどこにいるの?!」 という母の電話により、今日は撤退することになった。 別れる直前、柚子が言った言葉が印象的だった。 「きっと果奈達は、付き合う付き合わないって話じゃないのよね。 そんな形なんてどうでもよくって、 ただお互いが特別でありたい、それだけなんだよね。」 その時、柚子の顔が凄く優しくて、 あったかい顔をしていたから つい私も微笑み返しちゃったけど ホントは、柚子の言ってる意味がよく理解できなかった。 確かに付き合うたい、そうは思ってない。 ・・というより、そんな大それたこと、言えない。 彼は誰にでも優しくて、皆の人気者で いつでも元気をくれる人。 そんな人と私が、なんておこがましくて とてもそんなこと言えない。 でも、気持ちはいつでもそばにありたい。 彼は私にとって誰とも比較できない特別な人だから。 柚子の言い方だと彼も私を・・ そんな風に聞こえたけど、それは違う。 だって彼は幼馴染みだから頼っていい、そう言った。 きっと私があまりに頼りないから 幼馴染みとして心配してくれてるだけ。 それでもいい。 幼馴染みとしてでいいから、 彼の一番そばにいたい。 また誰かに何かを言われるかもしれないけど・・ いつか、彼が私なんかよりずっと特別に思う人が現れて、 私の存在が疎ましく思えるその日まで・・ どうかそばにいさせてください。
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