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スカラベが甲殻を広げ、羽根を出す。
そして、スカラベが地面から離れた瞬間、マギは飛び出した。
不意をつくように、空中に飛ぶのボーリングの玉くらいの大きさの虫を、片手でわし掴み、地面にたたき付けた!!
強く地面に打ち付けられたスカラベは、衝撃に怯んだ。
それでもマギは間を空けず、地面に転がるスカラベを蹴った!!
蹴られたスカラベは、地面に仰向けで転がり、足をシャカシャカと動かし悶えていた。
「これでいいんか!?」
マギは木刀を高く上げ、勢いをつけて、スカラベの腹部に、木刀をたたき付けた!
木刀は、スカラベの身体を、切る、と言うより、割る、ような形になった。
腹部から甲殻が割れるような音がし、スカラベの動きは止まった。
「………気持ち悪いな…この感覚…。でも、倒したのか?」
マギは木刀を腰に戻し、視線を潰れたスカラベに向けたままノウェの元へと向かった。
「あぁ…死んだ。しかし、容赦なかったな。」
ノウェは馴れているかのように、その場で拍手をした。
勝った……のか。
マギは再度、スカラベを見る。
青白い光をうっすらと浮かべながら、スカラベのグラフィックが消えていっていた。
戦っている最中、ゲームだという事など頭になんか入ってこなかった。
ただひたすらに、目の前の危険からの回避…
自分の命を守る事を考えていた。
ゲームの世界で、死の危険を感じるとは思っていなかった。
しかし、マギの心は…
恐怖に入り交じり、勝利の優越感があった。
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