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教室の窓から入る日の光が、窓際の席の俺をここちよく照らし、眠気を誘う。
昨晩は深夜アニメに見入っていたせいで、いつもよりまぶたが重かった。
「住野! 住野 秋!!」
黒板から放たれる声に、秋と呼ばれた学生は机から顔をあげる。
寝ていたせいで、額に張り付いていた消しゴムが床に転がっていく。
おそらく、消しゴムの形が額にくっきりと残っているんだろうな。
「問3の問題を解いてみろぉ。話聞いてたら出来るだろぉ?」
そういって教卓に立つ数学教師は黒板に書かれた白い数式を指差した。
俺は椅子から立ち上がり頭をかきながらぼやける思考でその数式を見る。
「……X=8.1 Y=3…。」
秋は欠伸をしながら答えた。
「………チッ…正解だ…。」
教卓にいるその存在は、苦虫を噛んだような顔で黒板に向き直る。
……素直に寝てたことを注意すればいいのに……。
頭でそんな事を考えながら、秋は席に座り直す。
その時、制服のポケットに振動を感じ、俺は黒い携帯を取り出し、机のしたで開く。
画面に映し出される【メール着信1件】の文字を開いた。
母さん?こんな時間に?
母
無題
秋宛てに荷物が届いたよ。
俺はそのメールを見て、飛び上がりそうになった。
ついに……来たか…
俺は自然に顔がにやけ、時計を見た。
時間は6時間目の終に差し掛かったところだった。
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