3026人が本棚に入れています
本棚に追加
「はいはい。」
俺は粗雑な返事をして立ち上がる。
軽い立ちくらみのような感覚があるが、すぐに治まり、鍵のかけられたドアに向かう。
もし、今が8時くらいなら、俺の部屋をノックするのは一人しかいない。
ーーカチャリ。
鍵を開け、ドアを開くと、見慣れた姿が立っていた。
「お兄ちゃん、帰ってたんだ。…部屋暗いね。寝てた?」
隙間から家具の少ない部屋を覗き込む。
「勝手に見るな【楓】。」
「いいじゃない。減るもんじゃないし!」
俺に生意気な口を聞く妹は、俺の横をすり抜け部屋に入っていった。
「うわっ、埃っぽいぃ…少しは換気しなよぉ。」
「余計なお世話だ。それより、なんのようだ?」
楓を追うように自分の部屋に入り、電気を付けた。
暗闇に慣れた目には眩しすぎる光に、目を細める。
「わざとらしい…ご飯出来たから呼びにきたんだよ…あれ…これ…」
そう言って楓が興味を示したのは、パソコンに繋がれたアイマスクだった。
「お兄ちゃん、Realやってたんだ!楓もやってるよ!!」
向き直り笑顔で話す妹
「あぁ、今日始めたばかりだけどな…それより腹減った。飯出来てんなら先に降りるぞ。」
そんなお節介な妹を部屋に残し、部屋を後にした
最初のコメントを投稿しよう!