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一階に降りると、香しい匂いが漂い、居間に行くと、テーブルに並べられた料理が湯気を立たせていた。
両親は二人とも共働きで、常に家にはいない。
そのため、家の炊事をするのは、俺か楓になる。
しかし、小さい頃から世話好きな楓は、率先して家の仕事をし、気づけば料理などは全て妹に任せっきりだった。
秋としては、身の周りの雑用がなくなるのはありがたいが、必要以上に世話したがるのが難点である。
まぁ、作る料理は美味いので文句はない。
「電気付けっぱなしで出ていってぇ。」
2階から楓が髪飾りを左右に揺らしながらかけてくる。
二人して席に着く。
「いただきます。」
「いただきます。」
二人だけで食卓を囲み、手を合わせる。
俺はわりと好きな肉じゃがに箸を延ばす。
二人だけのこの食卓は、もう何年も代わり映えしない。
「お兄ちゃんは、いま、レベルいくつなの?」
妹から聞けるとは思わなかったその内容に、俺は一瞬戸惑った。
「あぁ、Realの話か…今日始めたばかりで、まだレベル2だ。」
ジャガ芋を箸で二つに割り、口に入れながら答える。
「あ、今日始めたんだ!なら、楓がレベル上げに付き合ってあげよっか?」
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