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夕飯を終え、秋は風呂に向かった。
楓は夕飯の後片付けだ。
服を全て脱ぎ、産まれた時の姿でバスルームへと行き、シャワーのノズルに手をかけた。
頭上のシャワーから、心地よい温度の雨が降り出す。
それを頭から被りながら、目の前の鏡を見た。
「…少し…痩せたな。」
身体をみてそう思う。
部活を辞めて、身体は堕落するかと思っていたが、実際身体は衰えをみせなかった。
シャワーを止め、風呂釜に入る。
一日の疲れが癒されるような感覚。
鼻歌を歌ってしまいそうな心地だ。
「お兄ちゃん。」
曇りガラスのドア越しに、楓のシルエットが浮かんでいた。
「タオル置いとくよ?」
「あぁ、頼む。」
風呂のお湯を手で掬い、自分の顔に掛けながら言う。
「あ、背中流してあげよっか?」
「早く洗い物してこい世話役メイド。」
俺がそういうと、「捻くれ者~!」と吐き文句が聞こえ、シルエットが奥へと消えていった。
アイツには思春期的な何かは来ないのか?
世話を妬くときに恥じらいのような物は1ミクロンも表に出さない。
本当にたまにそれで困らされる事がある。
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