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「さて…。」
秋はパソコンの電源を入れ、パスワードを入れた。
カタカタカタカタッーカチカチッ。
打ち込むと、パソコンはすぐにシステムデータを読み込む作業に移った。
その間に、パソコンの横に置かれていた携帯が視界にはいった。
「あ、そうだ。」
携帯を取り出し、暗証番号を入力し、電話帳を開いた。
電話帳の先頭に登録された【アホ】を選び、電話を掛けた。
2~3のコール音で声が聞こえた。
「はいはいお待たせしましたぁ~!君の大親友の達人君だよぉ♪さぁ、早速狩りに行こうかマギ君!」
完全にアホ丸だしである。
もし、こんなアホが知り合いだと妹に知られたら…
きっと、ショックで寝込んでしまうだろう。
それは今後の食事や家の家事…そして兄の威厳に支障をきたすあってはならない事だ。
なんとかしなければ…
「やぁ、俺の親友。実は一つ残念なお知らせがある。俺の女がRealをやっていてRealでデートしようと誘われた。」
「おんな…お、おんなぁぁぁ!?ま、待て!俺はお前に彼女がいるなんて聞いてないぞ!」
そんなありもしない事、必要ない限り日常会話では言わないだろう。
「黙っててすまない。しかし、女とRealをするから今日は君とは行けないんだ。」
「ま、待てよ。なら俺も一緒に…」
「うわっ電波がない電話がきれるぅぅぅ~。」
ーーーポチッ。
携帯を耳から放し、電源ボタンを押した。
「…すまない…達人よ。」
心にもない事を呟き、秋はアイマスクを付けた。
~Life~ 完
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