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デパ地下の中は、食品の代わりに武器や防具、さらには魔法屋が立ち並んでいた。
周りの人混みの動きは忙しく、目を回しそうになる。
「レベルはまだ初期だよね?ん~…下手な装備より私服系の方が動きやすいかな?」
そう言って、楓はマギの腕を引き、奥の店へと入って行く。
店の前の看板には、色彩豊かな文字で、【ビューティ&ビューティ】と立てられていた。
店内はいたって現実の服屋と変わらない。
「……防具なんてあるのか?盾とか…鎧とか…。」
ハンガーに掛けられている装備は、明らかにオシャレをイメージした布生地で、鉄を編みこんだような鎧はなさそうだった。
「アハハ!そんな重たいのまだ装備出来ないよ~。とりあえず、ラフな装備なら素早く動けるし、一応こんな私服でも装備したら防御力に影響あるから、攻撃を受けた反動も少しは変わるから。」
そう言い、楓はヒョイヒョイと服が掛けてあるハンガーを取っていく。
「ちょ、お前、服の値段もみないで…しかもサイズですら…。」
見かねてマギは口を出す。
「あぁ。これくらいの服ならいくつ買おうが、楓にとってタダ同然だし、服のサイズは自然にお兄ちゃんに合うから。それに…。お兄ちゃんの服なんだから、元からお金に関して遠慮はないもん♪」
無邪気な笑顔で、妹の人格のキャラクターが笑う。
その姿に、少し胸が高鳴り、マギは無言で顔を反らした。
ある程度の服を両手に持った楓は、そのままレジへと向かっていった。
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