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「あぁ、この木刀は……」
言いかけて言葉を止める。
達人ことノウェの存在を知られたら、兄の威厳に関わる…。
それだけはなんとしても阻止せねば。
「これは…ひ、拾った。」
「拾った?木刀なんかを?」
「あ、あぁ。誰かが棄ててそのままにしたんだろ。」
「ふぅ~ん…そうなんだぁ…。」
疑心の目でマギを見る。
明らかに…バレてる…
そんな時、マギの携帯から着信音が響く。
それを口実に、楓の視線から離れる。
しかし、携帯を開いたマギは、その着信が凄くタイミングの悪いものだと知り、絶望に立たされた。
新着メール1件
ノウェ
無題
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【本当に…俺以外とRealをしてるんだな…(;_;)
信じてたのに…もうお前とは…やってけないわぁぁ!!
(ノ><)ノ】
……………。
メールを見終わり顔を上げると、店の外で携帯を片手に、なんともいえない淋しそうな目でこちらを見つめるノウェの姿…。
そして、まるでドラマの1シーンのように、ゆっくりとした動きで踵を返し、人混みの中へと消えていった。
あの時、不意に光ったあれは涙なのだろうか……。
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