~Player up~

9/13
前へ
/284ページ
次へ
「お兄ちゃん……。」   背中から刺すように響くその声に、ビクッと反応する。   恐る恐る振り向くと、楓がマギの携帯を覗くように立っていた。   「…しまった。」   「お兄ちゃん…もしかして…さっきの人…。」   バレてしまったか…。 額に妙な汗が浮かぶ。   「彼女さんだったり!?」   「ハァ!?」   的を射ぬ楓の言葉に、マギは驚き絶句した。   「でもさっきの人、男性だったよ!?ナンパ防止?……でも、格好がすごく悪趣味だったよ!?」   一人慌てふためく楓に、マギは溜め息をつく。   「あのな…あいつは女なんかじゃない。れっきとした男だ。」   「え?じ、じゃあまさかお兄ちゃん…。」   「おおっと、妹よ勘違いするな。俺はアイツと好き好んで付き合ってなどいない。勝手について来るだけだから。」   我ながら上手い。 これなら俺の威厳を下げずに誤解を解ける!!   しかしその言葉を聞いた楓の行動は、俺を驚愕させるものだった。   「……………ッツ!!」   少し間をおき、楓はマギの手を引き、弾かれたように店から飛び出した。   「なっな!?なんだよ!?いきなりどうした!?」   「いいの!お兄ちゃんの事、楓が守るから!!」   握られているマギの手には、熱と力が込められていた。     まさか…自分がついた嘘があんな災害に繋がるとは…マギはまだ知るよしもなかった…。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3026人が本棚に入れています
本棚に追加