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駅に着き、改札口の前で仁王立ちする楓。
凄まじい威圧と殺気に、周りのプレイヤーは、楓を中心にみえない壁があるかのように避けていく。
マギもその一人だ。
パーティーを組む少女から離れ様子をみている。
周りの視線が恥ずかしいのと、嫌な予感がするからだ。
悪い予感が現実になるのに、時間はかからなかった。
明らかに目立つ赤色の装備のプレイヤーが、俯きながら改札口に向かって行っていた。
視線が地面に向いているので、楓の存在に気づいていない。
「………ッ!!いた!そこのノウェさん!!」
目標を確認した楓は、周囲の目を気にせずに大声を出す。
「………え?」
伏せていた視線を上げたノウェの顔は、なぜか先程よりやつれていた。
「あなたですね…楓のお兄ちゃんに近づいてくるのは!」
「お…お兄ちゃん……?」
訳のわかないといったような顔で、ノウェはその場でキョロキョロと辺りを見回す。
少し離れた俺を見つけ、目があった瞬間、ノウェの顔がまた悲しみで歪んだ。
そこまでなのか…?
「そ…そうか……そうゆう事か…。」
その場でワナワナと震えるノウェ…。
とうとうバレたか…いくらアホでももぅわかる…
「マギはそんなプレイを好んで…クソッ!!友情よりロリータかよ!!」
「こいつ馬鹿だ!!」
驚愕のあまり周囲を忘れ、マギはノウェを指差し突っ込んだ。
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