37人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
時の流れの速い事、碧は帰って行った。
まだ、もんじゃの香りが漂っている部屋をエマは右往左往していた。
何が有ったのだろうか…
妙に落ち着きが無い。
食べた物が悪かったのだろうか。
するとエマは、ピタリと止まった。
そして、窓の外をじっと睨み付けた。
義正も動きを止める。
心臓の音をも止めねば成らぬ気がした。
何かの音がする。
雨の音に紛れて何かの震える音がする。
ブルルルルルル、と。
場所は遠いであろう。
だが、確かに何かが有る。
義正が、一歩前へと脚を出す。
するとエマがこっちをキッと睨んで来た。
義正はその視線に射すくめられた。
動くな、と言ってるかのようだった。
雨が一段と強く成り、トタン屋根を殴りながら音を立てていた。
その音の大きい事、遂には周りの雑音を消し去ってしまったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!