碧さん

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時の流れの速い事、碧は帰って行った。 まだ、もんじゃの香りが漂っている部屋をエマは右往左往していた。 何が有ったのだろうか… 妙に落ち着きが無い。 食べた物が悪かったのだろうか。 するとエマは、ピタリと止まった。 そして、窓の外をじっと睨み付けた。 義正も動きを止める。 心臓の音をも止めねば成らぬ気がした。 何かの音がする。 雨の音に紛れて何かの震える音がする。 ブルルルルルル、と。 場所は遠いであろう。 だが、確かに何かが有る。 義正が、一歩前へと脚を出す。 するとエマがこっちをキッと睨んで来た。 義正はその視線に射すくめられた。 動くな、と言ってるかのようだった。 雨が一段と強く成り、トタン屋根を殴りながら音を立てていた。 その音の大きい事、遂には周りの雑音を消し去ってしまったのだった。
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