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何があってもだよ、と念をおすとリンはむくれて、わかってるってば!と言い、クスクスと笑った。僕も笑う。きっとこれが最後だから。
「ねぇ、リン…」
「ここか!?」
ああ、ついに来てしまった。
勝手にどかどかと入ってきた大人たちにリンは憤慨しているようだった。
「王女の部屋に勝手に入るなんて……」
「リン」
「レン、あの人たちあとで殺してちょうだい!」
「うん」
「レン、なんだか剣の音がするのだけど」
「あれはおもちゃだよ」
ひそひそ声で話す僕ら。
ここが見つかるのも時間の問題だ。
足音が、段々近づいてくる。
「リン、僕は今からリンのふりをして出ていくから。君は出てきちゃだめだよ」
「みんなを困らせるのね!」
「そうだよ」
愛しい双子。
こんな時まで君は無知の愚かな王女。
「さあ、ドレスの裏に隠れて。絶対出てこないで」
「えぇ」
そう言ってリンは、肌触りのよさそうな絹のドレスの裏に隠れた。
あれは厚手だからリンが透けることもないだろう。
「じゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃい!」
僕は、クローゼットの扉を開いた。
じゃあね、リン。
きっと永遠にさよならだ
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