りかい

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──────… この人間が気になった。 でも少しでも近づけば、また捕らえられるかも知れない。 また、あの人がした様に殴られるかも知れない。 恐い…恐い… 人間の手が、私に近づく。 びくっと顔を伏せると、一瞬人間の手が静止した。 「……大丈夫。恐くない。」 顔をあげると、その人間は手を私の頭に置き、優しく撫でた。 軟らかな笑顔で。 震える、声で。 違った。 違った…。 他の人間とは違った。 あの人とは違った。 こんな私を汚いとも邪魔だとも言わない。 初めての優しさを受けた…。 涙が出そうだった。 何も言えない私を許して下さい。何も返せない私を許して下さい。 私は、あなたに会えただけで幸せです。 この人間の手の温もりに、私は頭を押し付けるようにして心で泣いた。 ──────… .image=182535508.jpg
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