離さない

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「おい、これだよ」 「これ?桐島さんの」 「そうだよ。俺が見つけたんだ」 コバンザメがそう言いながら鞄から取り出したのはピンクの小袋だ。 結の? それはまさか…… 「朝さ、桐島さん俺の席座ってたんだよ。そこに入ってたから間違いない」 コバンザメが嬉しそうに話す。 結がコバンザメに?んなわけあるか。 「どうせお前にじゃねぇよ!秋夜にあげるやつだろ」 「いいじゃねぇか。俺の机にあったんだし」 コバンザメが持つその袋に目を奪われた。 かわいらしいピンクの袋に黒のリボン。 シンプルだけど結らしい包装だ。 結のやつ、やっぱり俺にくれるつもりだったんだ。 しかもあんなラッピングまでして、手作りだろ。 なんでこんなことに? なんでお前らが持ってんだよ。 「早く開けようぜ。さっさと食べちまおう」 坂田が袋を取り上げて黒のリボンをほどいて捨てた。 結の俺への気持ちを乱暴に開ける坂田はまるで、 結を、 俺の大好きなコを 犯しているみたいだった。 この時点で頭に血が登り我を忘れそうになった。 しかしこれだけじゃ終わらない。 あまりの怒りに呆然としていると、坂田は次の行動に出た。 「お、なんか入ってるぜ」 坂田が袋から取り出したのは2つ折りにされた紙だ。 なんだあれ? ピンクの紙、俺へのメッセージか。 坂田がそれを開いて目を通す。 「手紙か。……なんだ、秋夜にラブレターだよ」 「どれ?読ませてよ」 魚糞が手紙を覗きこみ、坂田はその手紙を読み上げた。 やめろよ。 それは結が、俺に書いたメッセージだろ。 心の中で叫んでも無駄だ。 坂田はアホみたいにデカい声で手紙を読んだ。
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