告白したら負け

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早川くんから借りたプリントのおかげで数学の課題は終わった。 そして数学の時間の前の休み時間。 私に人生最大のチャンスが訪れた。 「桐島さん」 世界史の授業の板書を必死に写す私に声をかける人が。 この声は………早川くん? いやん、今眼鏡かけてるから待って。 また心臓が暴れん坊将軍になっていく。 おそらく今日だけで私の心臓は1週間分働いた。 「あ、早川くん」 と振り向きながら眼鏡をはずしわかっていたくせに言う。 「プリント終わった?」 もちろんです。 早川くんに迷惑はかけません。 なんて言いたかったけど、あの目力の強い眼差しで見られるともう恥ずかしくて頭が真っ白になって言葉がでない。 「あ、え、うん。」 もうきょどりまくり。 プリントを探す手が震えているのをごまかすために手当たり次第に机の上のものを動かしまくった。 その拍子に机の上のペンケースが落ちて中身が辺りに散らばった。 「あっ」 思わず声を上げる。 急いで拾いたいのをしばし我慢して混沌とした机の下に埋もれたプリントを早川くんに渡した。 「ありがと」 焦っていたから得意の飛び切りスマイル(0円)を見せることはできずすぐに床に散らばったペンを拾いだした。 「大丈夫?」 そう言って早川くんも心配して手伝ってくれた。 やさしー! 隣の席の地味系の女の子も手伝ってくれたおかげですぐに事態は治まった。 前の席の眼鏡・坊ちゃん刈り・丈の短いズボンのあからさまなガリ勉野郎は見向きせずに本を読んでいる。 しかも足元にあるペンを取ろうとする早川くんの手を蹴りやがった。 いつか復讐してやる。
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