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美華の作戦はこうだ。
まず体育をおもいっきりエンジョイする。
体温があがるからブレザーを着ずにカッターシャツだけを着る。
暑いのを理由にカッターシャツのボタンを開ける。
新学期はまだ始まったばかりだから席は出席番号順なんだけど、長谷川美華と早川秋夜は席が前後。
美華は後ろを向いて早川くんに話し掛ける。
すると早川くんの視界には美華のいやらしい下着に包まれた豊満なバストが見える。
……参りました。
私はこんな作戦思い付かない。
このままじゃやばい。
こんな大胆不敵な女が相手ならいくら200人を虜にした私でもたぶん負ける。
「え、てか美華は早川くん狙ってんの?」
友達が驚いた様子で言った。
美華はもちろん、と胸を張って言う。
「……まじ?私もだったんだけど」
また別の友達が言った。
やっぱり人生いいことばかりじゃないね。
ライバルこんなにいるのかよ。
ビビリな私は絶対に負ける……
いや、諦めるな結。
200人を虜にしたんだよ。
それに比べれば1人くらいなんとかなる!
まずこの2人に何かできないか……
私は2人のライバルが話しているのを聞くフリをして考えを巡らせた。
そのとき、美華がこんなことを言い出した。
「でもさ、早川くんの好みは私じゃないんだって」
「えー誰?」
とたずねるライバル2号。
すると美華は信じられないことを口にした。
「結だって」
一瞬わけがわからなかった。
ゆいって誰?
私だよね?ね?
私は口をぽっかり開け人生で1番間抜けな顔をしていた。
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