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俺の予想以上に時間が進むのは速く、中間テストが始まったかと思うとあっという間に終わってしまった。
明日から早速答案が帰ってくる。
テスト明け一発目の授業は数学Ⅰだ。
数学はかなり自信があったので何点とれてるだろうかと期待に胸を膨らませながら床についた。
これまたあっという間にテストの返却タイムはやってきた。
出席番号の若い結はすぐに答案を受けとったが俺はその時はそこまで気にしてなかった。
それより結の直前に答案をもらった木田が俺の後ろで何かブツブツ言っていたのに気付きそれどころではなかった。
後ろを向くな、後ろを向くなと心の中で何回も唱えながら俺の名前が呼ばれるのを待った。
少し離れたところで田村の点数が69点だと言って男子が盛り上がっているのが聞こえたので、
そっちに行きたかったが背後の魔物(木田とも言う)が金縛りをかけているかのように体が動かせなかった。
早川、と呼ばれたときはどうやら金縛りがなくなっていたらしく体を自由に動かせた。
半分に曲げられた答案を受け取り、すぐに点数を確認した。
よしっ98点!
最後の1問で計算ミスをしており2点引かれていたが予想以上のできだ。
笑顔で自分の席に戻ろうとしたとき、結に止められた。
「何点だったの?」
と言うのと同時に結は俺から答案を取り上げた。
さぁ、すごーいって言え。
あの時の妄想と同じく結が尊敬の眼差しで俺を見上げる姿が頭に浮かんだ。
しかしやはり妄想と現実にはギャップがあるらしい。
「ふーん」
結の反応はこれだけ。
これだけ言ってすぐに俺に答案を返した。
あっけなさすぎだろ、現実よ。
「桐島さんは?」
人前では畏れ多くて結とは呼べない、なんてことはどうでもいい。
俺はとにかく結のふーんがショックで、そんなことを言う結の点数が気になった。
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