離さない

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事務室に鍵を取りに行ったら、まだ2組の鍵は帰ってきてなかった。 あれ? 俺が出てからもう結構経ってるよな。 時計を確認すると、俺が教室を出てちょうど40分経っていた。 数学、すぐ終わったな。 ノートのコピーくらい10分あれば終わるよな。 たぶん坂田たちが残ってて、吉田たちもそこで勉強して待ってるかも。 とりあえず教室に戻ろう。 もしかしたら結がチョコを持って待ってるかもしれないし。 ……ないな。 階段を登り、4階へ。 最悪の場合入れ違いになってる可能性もあるけど、ノートなくても俺はなんとかなるしそのまま貸しといていいか。 いなかったら図書室戻って、座れなかったら家帰ろう。 4階へたどり着き、2組の教室へ向かう。 教室の後ろ側のドアの小窓から中を除くと中にはやはり坂田たちが残っていた。 吉田たちは……いない。 坂田と、その取り巻きのコバンザメ、魚糞の3人だけだ。 なんだ、いないのか。 机とロッカー調べて、数学のノートはいいや。 坂田とは少し気まずいし、そっと入ってさっと出ちまおう。 うるさくしないようにゆっくりスライドドアを開けた。 少し開けると坂田たちの話し声が聞こえた。 なんだ、こいつら俺を追い出しといて勉強してねぇのかよ。 見たところ教科書やらノートやらは広げているが、関係ない話なのはすぐにわかった。 お気楽なもんだ。 俺は結を諦めなきゃいけなくなるくらい必死にやってんのに。 関係ないけどな。 そして中に入る寸前、俺の手は止まる。 坂田たちが楽しそうに話すその会話が俺の耳から入り、脳を突き刺した。
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