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『ハァハァ…』
冬なのに、俺は汗をかいていた。
家を飛び出して、一度も止まらず走り続けたからや。
10分程度でつく距離なのに、俺には何時間にも感じられた。
肩の力を抜き、中腰になって、膝に手を乗せて呼吸をととのえる。
けど、今の俺には休んでる暇なんてない。
はやく…はやく雪の姿を見て、安心したい。
いつも悪戯した後、"驚いた?"と、歯を見せて笑う彼女をみたい。
いや、見れると思っていた。
大きく深呼吸をした後、俺は病院のドアを開けた。
すぐ目の前に受付があり、看護婦さんと目が合った。
その時、俺はなにか引っ掛かった。
けど、今はそんな事を考える余裕はない。
俺は急いで看護婦さんに尋ねた。
『あの、須野(スノ) 雪が入ってる部屋は何号室ですか?』
看護婦《あぁ、お見舞いの方ですね?
ご案内しますね。》
看護婦さんは、にっこり微笑んで、俺に言った。
不安が少し和らいだ気がした。
『あ、お願いします。』
看護婦さんはまた微笑んで、こっちですよと、案内してくれた。
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