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看護婦さんはなにか喋りながら案内してくれてたけど、俺はそれを聞いてる場合じゃなかった。
走ったからか、緊張してるかは分からないが、さっきから心臓がバクバクとしている。
案内された場所につくと、俺は自分の目を疑った。
ー202
雪が入っていると言われた部屋の外には、そう書かれていた。
俺は、その数字を見て、さっきなにが引っ掛かったのかが分かった。
…夢と同じや。
案内してくれた看護婦さん、部屋に書かれている202という数字……
『正夢…?』
俺は無意識にそう呟いていた。
看護婦さんが不思議な顔で俺を見たけど、そんな事今は気にならなかった。
けど、もし正夢だとしても、俺はこの先からの夢は覚えていない。
だから、この部屋のドアの向こうに待ち受けているものがどんなものなのか、俺は知らない。
さっきからバクバクしてる心臓がより一層激しくなった。
微かだが、足も震えだした。
看護婦さんがドアを開けた。
『大丈夫…大丈夫…大丈夫や』
呪文のように"大丈夫"を繰り返す。
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